プリンセス・トヨトミ 万城目学
- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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「大阪が全停止」と紹介されているように、話の規模が大きく、ありえない設定だけど、なんだか面白い。調査官3人のキャラクターも個性があって、ぶれてない。
タイトルを見た時はピンと来なかったけど、読めばタイトルの意味もわかる。
ただ話のわりにボリュームが多い気もした。かなり読み進めないと「大阪が全停止」までいかない。
調査官3人のキャラクターが良かったのと結末が早く知りたかったのもあって、いっきに読み進めたが、前半部分が長すぎるので、ちょっと中だるみ気味なのが気になった。もう少しスムーズに読めるようにすると、ぐいぐいと引き込まれていったかも。
歴史に詳しい人が読むと、また違った視点で楽しめると思う。
彼女について よしもとばなな
- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/13
- メディア: 単行本
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最初は魔女や降霊だとかの言葉が出てきたので、ここまで現実離れした話だと思っていなかったから、ぎょっとした。
でも驚いたのは、そこだけじゃなくて、ラスト。
決して明るい終わり方じゃないし、軽い作品ではないけど、優しさに包まれている感覚。この優しさがなければ、本当に重くて読後感は悲惨だったはず。
少し「生きること」と「死ぬこと」について考えさせられる。ぐっとくる感じ。
植物図鑑 有川浩
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
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行き倒れの男の子と同居することになって、その男の子は外見もまぁ良くて、家事もしてくれて、料理もうまい。ありえない設定だけど、主人公と男の子のやり取りで、にやけてしまったり、照れてしまう。
そこにタイトル通り、植物の話が混ざってる。植物でも、野草ばかりなのが個人的には良かった。料理がどれも美味しそう。
草食系男子とはまさにこれだ!と思う。
ベタで甘くて、ほんわか系の恋愛小説が好きな人は絶対にツボだと思う。
綺麗な生活 林真理子
- 作者: 林真理子
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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だが、男が事故で美しさを失ったことで、主人公は男を愛せなくなってしまう。
主人公が働く美容整形外科での話が多く、女の「美への探求」が恐ろしいほどリアルに描かれている。「美への探求」は年を重ねるほど、その思いが強くなってくる。
自分が年をとったら?愛する人が今の顔を失ったら?
自分は果してどんな行動をとるのだろうか。
最後の、主人公と男の父親の会話が、ヒリヒリと残る。
ほかに踊りを知らない。 川上弘美
- 作者: 川上弘美,門馬則雄
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/11/17
- メディア: 単行本
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雑誌に掲載されていたらしく、日記形式になっている。
まさに川上ワールド全開で、2004年から2007年に書かれたものらしいが、古く懐かしい印象を受け、読み終わった後におかしな感覚に陥る。そして、癒される。
桃の香りが良くて、香りを消したくないがために、何日もごはんを作らなかったり、粗大ごみを出して少し悲しくなったり、どこまでが本当なのかわからないような話が多い。
何でもない日常を、(うそが交ざっているとしても)こんなに素敵に描けてしまうとは…!
1年に1回くらい、ふと手にしたくなる本だ。
ロック母 角田光代
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 単行本
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書かれた年代は、ばらばららしく、確かに「ゆうべの神様」なんかは、最近の作品に比べて、拙さを感じる。
だが、どの作品も、嫌な感じがうまく漂っていて、それがすごくリアルで、さすが!と思う。
表題作の「ロック母」は、未婚で妊娠した主人公が、出産のために、実家のある小さな島に帰る話。
久々に帰る実家で主人公が見たのは、母がニルヴァーナを大音量でかけながら、人形の服をひたすら縫っている姿だった。おかしくなった母と、子どもの父親に逃げられたことを言えないでいる主人公の、微妙な関係。
分娩室で流れるニルヴァーナ、最後の母の涙に、すこし泣けた。
玩具の言い分 朝倉かすみ
- 作者: 朝倉かすみ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2009/05/14
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主に、「恋愛」とか「結婚」よりも、「性」に対しての欲求について描かれている感じ。どのストーリーに出てくる人物も、女性特有の寂しさや嫉妬で、あがいていて痛い。
中年女性の痛さを描いた話なのもわかるけど、この年代の女性は共感できるのだろうか、と疑問に思う。
今のアラフォー世代は、もっと元気で輝いてるイメージがあるんだけども…。
もちろんこれに共感できる人もいるんだろうけど、とにかく「中年女性が痛い!」ってことしか残らず、リアルかどうかは微妙なところ。
終わり方が、この著者らしく、さっぱりしているのが救い。
独身の伯母を追いかけているように感じている女が主人公の「小包どろぼう」は、少しかわいらしさが混ざり、この本の中では一番良かったと思う。それでも十分、痛いお話だったんだけども。
朝倉かすみは、他にもっと良い作品があるからか、物足りなさを感じる。