玩具の言い分 朝倉かすみ

玩具の言い分

玩具の言い分

30代後半から40代前半の心情を描いた短編集。
主に、「恋愛」とか「結婚」よりも、「性」に対しての欲求について描かれている感じ。どのストーリーに出てくる人物も、女性特有の寂しさや嫉妬で、あがいていて痛い。

中年女性の痛さを描いた話なのもわかるけど、この年代の女性は共感できるのだろうか、と疑問に思う。
今のアラフォー世代は、もっと元気で輝いてるイメージがあるんだけども…。
もちろんこれに共感できる人もいるんだろうけど、とにかく「中年女性が痛い!」ってことしか残らず、リアルかどうかは微妙なところ。

終わり方が、この著者らしく、さっぱりしているのが救い。
独身の伯母を追いかけているように感じている女が主人公の「小包どろぼう」は、少しかわいらしさが混ざり、この本の中では一番良かったと思う。それでも十分、痛いお話だったんだけども。
朝倉かすみは、他にもっと良い作品があるからか、物足りなさを感じる。