授乳 村田沙耶香

授乳

授乳

全く知らなかった作家だったが、雑誌で紹介されていたので読んでみた。

表題作「授乳」を含め、3作品が収録されているのだが、一番印象に残ったのは、ぬいぐるみを恋人にする女と少女の話だ。少女は、恋人と結ばれるためにラブホテルに行きたがったり、心中未遂まで起こすのだ。
ぬいぐるみが恋人なんて設定は現実には考えられないのだが、設定どうこうより、「女は産まれた時から女」ということが滲み出ている。
表題作の「授乳」は、自分の中にある程度腐った女があると感じている中学生が主人公。「女」を使い、だが時には「子ども」の立場を利用している。

人の厭な部分を見せられたような嫌悪感はあるが、それが決して不快ではなかった。この著者の他の作品も近々読んでみようかと思う。