告白 湊かなえ

告白

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感じたことのない後味の悪さ
話題になっていたので、今年に入ってからすぐ図書館で予約していたのだが、予約数が多かったのかなかなか回ってこなく、先日やっと読むことができた。
大体のあらすじは雑誌やテレビで見て知っていたけども、実際に読むと衝撃的でゾクゾクする怖さ。
第1章「聖職者」で賞を取り、他の章は後から書かれたものだけども、違和感は感じなくうまく繋いでいる。事件の被害者、加害者、加害者の家族や同級生と、章ごとに語り手が変わる。何度も同じ話が繰り返されるのに、退屈しないのは凄い。

ただ、復讐のためにHIV患者である愛する人の血液を、加害者である生徒の牛乳に混ぜるという行為は(実際には混入されていなかったけども)嫌悪感を感じた。
加害者の母親なんかは実際に存在しそうな人物なんだけども、ところどころ「あれ?」と感じるようなところがあって、リアルさが抜けている部分が気になる。
また、加害者二人が殺人を行うまでの経緯が、母親に対しての執着心からきているというところは、すごく安易に感じる。1章だけでなく、他の章でも衝撃を受けるのを期待していたせいか。
読み終えた後は、復讐は成功したはずなのにすっきりしない後味の悪さが残る。