マザコン 角田光代

マザコン

マザコン

「だれもがマザコンなのかもしれない」に納得
母と子の関係が、子供の目線で書かれている短編集だ。といっても、小さい子供の話ではなくて、どれも成人した子供から見た母親の話。夫婦の話でも、そこに母親の話が交ざっていたりする。
「マザコン」というタイトルだから、ものすごく強烈で病的なマザコンの話を想像していたが、そうではなくて、血のつながり故に切れない関係だったり、頼る立場から頼られる立場になるのを受け入れることがなかなか出来なかったり、老いていく母を認めたくなかったり、不安定な心の揺れ動きが書かれている。
自分もいつか母親に対して、このような感情を持つのだろうかと思うと、複雑な気分になった。