初恋素描帖 豊島ミホ

初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス)

初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス)

この装丁はもしや?!と手に取ったら、やはり浅野いにおだった。豊島ミホの本はデビュー作の「青空チェリー」を読んで以来なので相当久しぶりだ。しかも「青空チェリー」は妹が所持していたもので、見つけた時には驚いた。


この「初恋素描帖」は、各話、語り手が変わる連作短篇だ。短篇なので一つの話は短いのが当然だが、この本は20話全てが本当に短い。活字離れしている人にはすごく読みやすい本ではないだろうか。もちろん20話、全て語り手は変わる。どれも田舎の中学校の2年2組の生徒だ。片思い、両思いの恋愛、それによる友達の反応、男女の友情の変化、思春期のちょっと背伸びした感じや、その頃に感じる嫉妬や願望が綴られている。自分の学生時代にいたような人物が出てくる、自然な普通っぽさが良い。
各話毎に、人物のイラストが添えられているのだが、キャラクターイメージを固定させてしまうのを嫌がる人もいると思う。でも、私はこの本に添えられるイラストはすごく好きだ。(ただ浅野いにおが好きってことも考えられるが)20人の人物、どれも違和感なく溶け込んでいる。

気になったことが一つ。もちろん普通っぽい本当にいそうな男の子も出てくるのだが、少し大人っぽくて、同年代の女の子よりも大人びている男子、そんな男子中学生って実際いるんだろうか。私の周りにいなかっただけかもしれないし、私が女だからなのか、少し違和感。