青い鳥 重松清

青い鳥

青い鳥

正しいことではなく大切なことは何か
中学校の臨時講師である村内先生はひどい吃音症だ。そのことで、生徒に馬鹿にされたり笑われたりもするが、村内先生は「正しい」ことではなく「たいせつなこと」を教えにくる。
場面によって声が出せなくなってしまう生徒の話や、イジメの加害者の話、最終章の「カッコウの卵」は村内先生に出会ったことで変わった卒業生の話。連作短篇になっている。


何かから孤立してしまった生徒の傍にいて、「たいせつなこと」を教えていく。一人ぼっちが二人いれば、それは一人ぼっちではないということ。村内先生のような先生がいるなら、きっと救われる。ただ現実的ではないのが悲しい。もちろん大人でも楽しめるが、この本の登場人物たちと同じ中学生に読んでもらいたい。
重松清だからこそ書けた作品だと思う。