貴婦人Aの蘇生 小川洋子

貴婦人Aの蘇生

貴婦人Aの蘇生

突然、自分をロシアの皇族の生き残りであるアナスタシアだと言いはり、たくさんの剥製に「A」の刺繍をしていく伯母、儀式をしなければ建物の中に入ることのできない強迫観念症のニコ、剥製マニアのオハラと、主人公の周りにいる人物は、なんだか少し変わった人物だ。
最初は主人公と伯母の二人、そこにニコが加わり、オハラが加わりと、少し変わった4人の交流が描かれている。

たくさんの動物の剥製に囲まれての生活。想像すると少しゾッとするが、文体の透明感がグロテスクさを押さえているので安心して読めてしまう。少し暖かくなるような、ホッとするような安心感がある。